本日の記事で予告したとおり、4月7日付で東京弁護士会は懲戒処分の公表として以下の内容を同会のウェブサイトで公表した。
引用元 http://www.toben.or.jp/message/seimei/post-435.html
2016年04月07日
東京弁護士会 会長 小林 元治
伊関正孝会員については、2014年5月7日に懲戒の手続に付された事案として事前公表を行いましたが、この度懲戒処分をしたので公表します。
懲戒処分の公表
被懲戒者 伊関 正孝(登録番号20214)
登録上の事務所 東京都千代田区神田多町2-4 第2滝ビル6階 潮総合法律事務所
懲戒の種類 除名
効力の生じた日 2016年4月6日
懲戒理由の要旨
1 被懲戒者は、懲戒請求者Aから証券取引に対する損害賠償請求事件を受任し、代理人として証券会社Xから株式の売却代金約587万円の支払いを受けたが、2009年4月16日に懲戒請求者に対して、そのうち300万円を自らに預けるように求め、懲戒請求者はやむなくこれに応じた。被懲戒者は、これとは別途に、2010年10月15日に懲戒請求者Aから150万円を借り入れた。
上記について、被懲戒者はその一部を返済したものの、その余については再三にわたる返還要求においても清算を怠り、返済をしなかった。
また、被懲戒者は本受任事件において、2009年4月1日に証券会社Xに対して口座解約を求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償を行う予定である旨を通知し、同5月29日には取引履歴の開示を求めたものの、その後事件処理を進めずに放置し、2012年6月7日になってようやく証券会社Xに対する損害賠償額確定調停の申し立てを行ったが、前記の通知から3年以上が経過していたため、不法行為に基づく損害賠償請求権が消滅時効にかかっているとして、時効の援用を受けた。
2 2011年7月頃、被懲戒者は、除名処分を受けた元弁護士から、受任していた多数の債務整理事件を、その雇用していた事務職員とともに引き受けたが、弁護士自身がなすべき事務処理を専ら事務職員に行わせその監督を怠ったため、預り金の保管や弁済処理などを全く把握しておらず、依頼者からの預り金や消費者金融業者から受領した過払金等を流用するままに任せ、預り金に多額の欠損を生じさせ、依頼者に対する預り金の返還や弁済代行を滞らせた。被懲戒者が外部に流出させ、欠損を生じさせた預り金は、正確には算出できないものの、少なくとも4,000万円を超えると推認できる。
3 被懲戒者は、懲戒請求者Bから2012年5月15日に消費者金融業者Yに対する過払金の返還請求事件の依頼を受けた。その後、消費者金融業者Yとの間に和解を成立させ、2013年5月27日に代理人として101万円の和解金を受領したものの、懲戒請求者Bからの問い合わせに対しては、交渉中であるなど虚偽の報告をし、預り金の返還をしなかった。
その後、懲戒請求者Bが預り金の返還を求めて紛議調停を申し立て、2014年11月5日には分割で支払う旨の調停が成立したにもかかわらずこれを履行せず、また2015年3月10日には東京簡易裁判所において、支払いを命じる判決を受けたにもかかわらず、全額を支払わなかった。
これら被懲戒者の一連の行為は、弁護士職務基本規程第25条、同第35条、同第45条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士の品位を失うべき非行にあたる。
2016年4月6日
東京弁護士会 会長 小 林 元 治
引用以上
以下に、懲戒理由の内容を検討していく。
まず、懲戒事由の1の部分だが、株式の売却代金587万円を代理人として受領し、その中から300万円を預けるように求め、その後の懲戒請求者の預り金の返還請求について一部のみの返済しかせずに清算を怠ったという事と、この件とは別に懲戒請求者から金150万円を借り入れたが、返済をしていない。この依頼者から依頼された損害賠償請求事件も職務を懈怠したために、この損害賠償請求権については時効の援用を受けたという内容である。
伊関弁護士が如何なる理由で300万円もの大金を懲戒請求者に預けるよう申し向けたのかが、この懲戒事由では明らかにされていないが、きちんと東京弁護士会は伊関弁護士がどのような虚言を弄したのかを公表すべきなのである。また、職務懈怠については呆れるしかない、伊関弁護士の利益にもなるであるだろう事件を放置したという事は、すでに訴訟手続きの遂行能力の無い「欠陥」弁護士であったという事だろう。そのような観点から考えれば、伊関弁護士は到底訴訟行為の遂行ができない事を分かっていながら、着手金を受領したと考えられる、詐欺行為と呼ばれても仕方の無いような業務を行っていたという事だ。
懲戒事由の2については、単なる「泥棒」行為である。東京弁護士会は懲戒処分の事前公表においては、約9500万円の預り金が消失している事が明らかにされていたが、懲戒事由では「少なくとも4000万円」の預り金が欠損していると判断している。この当たりの判断の理由をきちんと東京弁護士会は公開すべきであろう。
懲戒事由の3については、過払い金の返還を金融業者から受けながら依頼者に交渉中と偽り、過払い金の返還を拒み、紛議調停を提起され和解を締結したものの支払いをせずに訴訟も提起され判決が確定したにも関わらず、支払いをしなかったという内容だ。これも単なる横領行為であり「泥棒」と呼ぶしか無いような行為であることは間違いないだろう。
この懲戒事由を見ていくと、少なくとも伊関弁護士に対して複数の懲戒請求が提起され、紛議調停も提起されていた事実が確認できる。しかも、その内容は全て金銭トラブルであり職務懈怠的な行為も含まれている事から、伊関弁護士がまともに弁護士業務を行っていない事を東京弁護士会は理解していた筈である。また懲戒処分の事前公表から、約2年もかかったことは、この懲戒処分の内容から考えれば遅すぎると断じざるを得ないだろう。この約2年の間に伊関弁護士の被害者が増加したと思われるからである。
また、この懲戒処分の内容からすれば弁護士会として刑事告発を行うべきであるはずなのだが、そのような事には触れていない。東京弁護士会は昨年債権者破産を申立てられ弁護士資格を喪失した「泥棒」駒場豊の、懲戒処分の際にも多額の預り金が横領されていた事実を知っていたにも関わらず、刑事告発を行わなかった、また現在も刑事告発を行っていない。
駒場や伊関のような「泥棒」弁護士を放置するのが弁護士自治なのであれば、国民は誰一人として弁護士自治など信託しないはずである。
現在も潮総合法律事務所のHPはそのまま存在し、「お客さまのご都合」で止まっていた電話は鳴るようになったが、誰も応答する者はいないようだ。東京弁護士会は適切に指導監督連絡権を行使し、潮総合法律事務所について徹底的に調査を早急に行うべきである。