自由と正義5月号は、表題のとおり前代未聞の懲戒処分の公告を掲載しているので以下に引用する。
1 処分を受けた弁護士
氏 名 川目 武彦 登録番号 31394
事務所 埼玉県川越市脇田本町30-2ダイゴビル4階B室
弁護士法人モッキンバード法律事務所川越支部
2 処分の内容 戒告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、独身であることが必須条件とされ、独身男女の婚姻活動の支援を主たる目的として設営されたインターネットサイトにおいて、独身であると偽り、氏名、経歴を偽って登録し続け、被懲戒者が独身であると誤信した懲戒請求者と情交関係を持ち、その誤信を解消することもせず、懲戒請求者と関係を続けた。
被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分が効力を生じた年月日 2021年11月3日
引用以上
本当にこの広告を見て驚いた。多くの弁護士も驚いたと思うが、いわゆる独身者以外登録不可という「婚活サイト」に川目弁護士は既婚者であるにも関わらず「独身」として偽名で経歴も偽り登録して、川目弁護士を独身と誤信した懲戒請求者と深い関係を持ち、その後もこの懲戒請求者には自らの属性本名も告げずにある時期まで、関係(サイトの性質上、基本的には結婚が前提であったのではなかろうか?)を継続したとの事である。まぁ弁護士業務とは全く関係ない事ではあるが、弁護士としての品位を失うべき非行であることには間違いは無いと思われる。
川目弁護士は、昨年1月の川越市長選にも出馬しており(落選)この市長選の前には川越市議も務めていたそうで、政治活動にも強い意欲もお持ちの弁護士のようである。
それにしても、婚活を目的とするサイトで弁護士でなくとも既婚者が独身と偽ったばかりでなく、偽名で登録し続けて関係を持ち続けていたわけであるから、弁護士であろうとなかろうと批難の対象になることは当然であろう。懲戒請求者に対して、事実異なる内容を申告して「婚活」としての交際をしていたわけであろうと推測される。こんな事実関係から想起するのは、暴力団員である被告人が、ゴルフ倶楽部会員である共犯者と共謀の上、同倶楽部が約款等により暴力団員の入場及び施設利用を禁止しているのに、共犯者において、被告人が暴力団員であることを申告せずに施設利用を申し込み、被告人が同伴者としてゴルフ場の施設を利用したとして、二項詐欺罪に問われた事案(最判H26.3.28)である。川目弁護士の行為も、同様の二項詐欺と判断できなくもないだろう。いずれにしても川目弁護士の行為が事実なのであれば、褒められた行為ではあることに異論のある人はいないはずである。
このような私的な弁護士の業務とは関係のない内容の問題で、弁護士に対して懲戒請求がなされる事についての異論がある事は理解するが、「弁護士自治」による同僚裁判の結果であるわけなので、弁護士に対する懲戒権を第三者機関に移管する方が公正な判断がなされるであろうことを弁護士にも理解して欲しいと思う。