改正プロ責法の施行と「濫訴」への懸念 適切な批判や論評を手当たり次第に訴える人を増やさないために何が必要かを考えるべきと思います 言論封殺の手段に裁判所が利用されることの無いようにするためには弁護士の依頼者への適切な対応が必要なはずです

ITメディアニュースは3日付で「改正プロバイダ責任制限法施行 SNS中傷の発信者情報開示を簡便に」として以下の記事を配信した。

ネット上で誹謗中傷された被害者が、加害者の情報開示請求を簡便に行えるようにする改正プロバイダ責任制限法が10月1日に施行された。開示請求にはこれまで2段階の裁判手続きが必要だったが、1回の手続き(非訟手続)で可能になる。

 発信者情報の開示請求には従来、(1)コンテンツプロバイダ(SNS事業者など)への仮処分の申立て、(2)ISPへの訴訟提起――という2段階の裁判手続きが必要だった。

 改正法では、被害者が裁判所に一度申し立てるだけで、裁判所がコンテンツプロバイダ対してISPの情報も提供するよう求め、ISPに発信者情報の開示も命令できる手続きを追加する。

 また、投稿時のIPアドレスだけでなく、ログイン時のIPアドレスの開示請求も行えるようになった。

 SNSを使った誹謗中傷が社会問題になったことなどを受けた措置。改正により、開示請求にかかる時間が短縮できる見通しだ。

引用以上

 上記引用記事においては「誹謗中傷された被害者が」とさらりと書いているが、「誹謗中傷」がどのような表現であるかの認識は個人間で差があるわけであり、危害を加える予告とか、全くのデマとか、個人情報を拡散したりしたのであれば間違いなく被害者であろうとは思う。しかしながら、最近の開示請求とか、この手の損害賠償請求においては自らに不都合な指摘や批判を封殺するために「手当たり次第」に開示請求などを行い、法や法的手続きを良く理解しない人たちに対して「賠償金」を任意で支払うよう求めたりする「ビジネス」も発生している訳である。このような状況を危惧した慶応大学助教授の大屋雄裕氏はNHKラジオ第一の「マイあさ!」の10月3日の放送で「自分が誹謗中傷されたとして・・多くの発言者に対して訴訟を起こした結果として、そのほとんどで負けているインフルエンサーや弁護士も実在する」と指摘し、新たな非訟手続が言論封殺の手段に使われかねない事を指摘している。

【参考リンク】

マイあさ! 7時台 けさの“聞きたい”「ネットのひぼう中傷をどう止めるのか」

 何より必要なのは、どのような表現が「誹謗中傷」であるかという共通認識を決める事であろう。本人が不愉快な指摘とか、不適切な言動や悪徳商法へ詐欺行為への注意喚起までも「誹謗中傷」とされてしまえば、誰もそのような不法行為・犯罪行為についての情報発信は行わなくなるはずだから、犯罪組織や悪徳商法を行う者らを利するだけになるわけだ。健康被害を惹起しかねないようなエセ医療などへの批判も封殺されれば、結果的に国民の不利益になるどころか、犯罪手段を利するだけなのである。

 もちろん事実適示においては、真実性・公益性が担保されていない内容についての情報発信は行うべきでは無いと思うが、「私がムカつく内容だから誹謗中傷」という感覚で、新たな非訟手続を利用されたら裁判所も堪ったものでは無いだろう。

 最近は誹謗中傷の抑止について、もっともらしい情報発信を行う弁護士も存在するが、その弁護士自体が、全くのデタラメであると当事者に指摘されている「聴取報告書」という書面を裁判所に証拠提出したりしているのであるから、筆者はそんな弁護士がいくら誹謗中傷問題を語っても全く信用できないというのが率直な感想である。誹謗中傷問題を語るべき弁護士は、メディアを利用するタレント弁護士などでなく今まで誠実に誹謗中傷問題に取り組んできた弁護士や、要件を欠くような内容と思われるような、発信者情報の開示請求とか損害賠償請求訴訟の相手方とされた人たちの代理人を務めた弁護士らだと筆者は考える。

 SNSを使った誹謗中傷は確かに社会問題であり、誰でも自由に検閲も校正も受けずに情報発信できる時代の副作用であると思われる。しかしながら、誰でも自由に発信できるメディアであるSNSなどにおける表現の規制が強まれば、表現の自由という権利は有名無実のものになるだろう。

 そのようなことからも「誹謗中傷」についての相談・委任を受けた弁護士の適切な対応がなければ、「濫訴」は現実のものになると思われる。「手当たり次第」に何らかの手続きを行うような弁護士が増加すれば、新たな非訟手続は完全にキャパオーバーになるはずだ。また「誹謗中傷ビジネス」の誹りも免れないと思われる。そのようなことからも、弁護士の適切な依頼者への対応は必要であり「無理筋」な内容での開示請求は困難である事や、単なる意見・論評については「誹謗中傷」とは判断されないという事を説明し「濫訴」を防ぐべきであろうと思われる。マスコミにおいては、誹謗中傷を批判しながらも真逆の行動を行う弁護士を登場させない事を徹底させてほしい。そいつらの商売のポジショントークなど誰のためにならないからだ。「イケメン」であろうと、そんな奴を報道に登場させることは、自らの報道の価値・信憑性とも低下させることを自覚するべきなのである。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中