自由と正義12月号に松山哲彦弁護士(福岡)の懲戒処分の要旨が掲載されているので以下に引用する。
1 処分を受けた弁護士
氏名 松山哲彦 登録番号 44478
事務所 福岡県福岡市中央区天神3-16-17第一城戸ビル2階
弁護士法人九州総合法律事務所
2 処分の内容 戒告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、慰謝料請求事件を常時50件以上抱えている状況下において、Aから不貞行為を原因とする慰謝料請求事件を受任したところ、その雇用する事務職員Bに相手方との交渉にわたることのないように十分留意する旨を指導することなく、電話で懲戒請求者に対して受任の事実を通知すること等を指示し、その結果、Bは、2018年7月24日懲戒請求者に対し、電話で、慰謝料を支払う意思の有無を問い、交渉に時間をかけるつもりはないこと、文書でのやり取りを望むのであればもはや訴訟を提起するしかないこと等を述べて交渉を行った。
被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第19条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分が効力を生じた年月日
2021年6月28日
引用以上
この事務所は非弁屋が運営していますよと告知しているような内容の懲戒処分の要旨であるが、処分としては「戒告」という信じがたいぐらい軽い処分で福岡県弁護士会は済ませてしまったようである。
そもそも、不貞行為の慰謝料請求なのであるわけだから、不貞の事実などを明示し内容証明郵便などで慰謝料の支払いを催告するのが一般的な弁護士であろう。口頭だけで、弁護士の受任を通知し「文書などでやり取りすることを望むなら、訴訟を提起する」などという交渉手法は反社とかヤミ金と変わらないだろう。
最近は、相手の住所も名前も知らずにLINEとかSNSのハンドルネームしか知らないが不貞関係を持ったという事案も多いので、DMなどで受任を知らせることはやむを得ないかもしれないが、訴訟を起こすに当たっても、相手の住所地の特定は必要なのであるから、「受任した事を書面でお知らせしたいので、書面のお送り先を教えてください」と電話での受任の告知であれば申し述べるはずであり、上記のようなチンピラまがいの言動を事務員に行わせるような事務所は弁護士法に定める弁護士の使命である「社会正義の実現」を阻害するものでしかないのであるから、さっさと退会にでもしておけば良かったのである。
事務員にチンピラまがいの言動を松山弁護士が積極的にさせていた事は無いと思われるし、常時50件ほどの慰謝料請求事件を抱えているという事から考えれば、この事務所は大量に「慰謝料請求」の広告を出稿しているだろうと思ったら、まさにそのとおりであり、以下のような不貞行為の慰謝料請求に特化したサイトで集客を図っている事が確認できた。
【参考リンク】
このサイトを見て頂ければわかるが、この弁護士法人の旧称は「ひいらぎ総合法律事務所」であり、以前の代表弁護士は吉村亮子弁護士(千葉 すでに登録は抹消している)であり、すでに非弁広告屋による事務所丸抱えでの運営がなされ、法人としての懲戒処分も受けた事もあるわけだ。


【参考リンク】
非弁屋の使用人である吉村亮子弁護士と弁護士法人ひいらぎ綜合法律事務所の懲戒処分の公告
この弁護士法人九州総合法律事務所は平成29年12月にひいらぎ総合法律事務所から名称を変更している。その前の法人の所在地の変更などは以下の記事でまとめたとおりだ。
【参考リンク】
「非弁屋の使用人」吉村亮子弁護士(千葉)業務停止3月の懲戒処分 背後の元ヤミ金融関係者と九州に移転した弁護士法人ひいらぎ綜合法律事務所
要するに、この事務所は日常的に継続して非弁提携、非弁業務を行っていると思われる事と、この事務所の実質経営者はあの「会長様」であったと思われるわけである。そんな事から「ヤミ金」のDNAが事務員などに感染し「文書などでやり取りすることを望むなら、訴訟を提起する」などという事を申し述べてしまうのであろう。
不貞行為の慰謝料請求は、ポスト過払い金返還請求として非弁屋や悪徳広告屋が目を付けてデタラメな手法で請求を行う事が蔓延している。派手に「不倫慰謝料」の請求などの広告を打ちまくる弁護士事務所には注意したほうが良いというのが筆者の考え方である。それにしても、非弁広告屋の弁護士業界への浸食の根は深い。日弁連・各単位弁護士会はしっかりとした非弁提携対策・非弁丸抱え対策を取るべきであろう。