弁護士ドットコムタイムスは「条件付き」で有償斡旋を認める声が3割弱という記事を配信している。
【参考リンク】
事件の有償斡旋、弁護士の3割超が合法化に賛成 非弁提携に関するアンケートvol.3
実際には事件の有料斡旋というのは一部では「非弁提携」という形で行われている事は事実だ。過払い金請求の全盛期には依頼者を斡旋する「NPO」や「任意団体」に、報酬金の「バック」を行っていたわけであり、そのほかにも「詐欺返金請求」などでは弁護士と結託した探偵会社への「バック」が日常的に行われていたわけである。
すでにHIROKEN非弁事件や、東京ミネルヴァ法律事務所の破産についてのリーガルビジョン関連法人の行為が「広告業者」として非弁行為を行った事が明らかになっている中で「有償斡旋」を検討するのであれば、リスティング広告やアフィリエイト広告などを含む弁護士広告が実質的な「有償斡旋」という見做し方もできなくもないと思われる事からも弁護士の広告規定についての抜本的な見直しや、他士業との連携についての確固たる規定を策定するべきではないかと考える。
そもそも弁護士マッチングサイト自体が、登録している弁護士に客を紹介すること自体についても「斡旋」といえば「斡旋」だろうし、そのあたりの明確な基準を決めることは必要であり、実際には事務所丸抱えの「非弁行為」を行う広告業者が後を絶たない事からも、弁護士広告業者についても何らかの審査制度を設けることも検討して良いのではないかと思われる。
そのほか、弁護士費用のクラウドファンディングでの募集なども増えているが、そのような事についての弁護士倫理についても議論が必要であろうと思われる。クラウドファンディングを行う際には、原告側の代理人が訴訟の社会的な意義などをひとくさりしゃべってカネ集めを行う事が多いが、弁護士費用が適切であることの説明と、訴状記載の内容の真実性まで担保されている事を公表したうえでカネ集めを行わなければ、カネ集めのための訴訟でないかという疑いを抱かれる可能性もある事も良く考え議論がなされるべきではないかと思われる。
有償斡旋についての議論を進めるためには、非弁行為の取り締まりや、最近増えている巧妙な非弁行為の潜脱の問題、養育費保証サービスが非弁行為に該当するかなども含めた議論が必要であることは間違いないはずだ。