「元祖」ベリーベスト法律事務所の懲戒処分の要旨 システマティックな非弁提携という判断がなされています。また「潜脱」行為も批難されています。これで業務停止6月は安かったですね!

弁護士自治を考える会は7日付で東京弁護士会の機関紙「LIBRA」4月号に掲載された「元祖」ベリーベスト法律事務所こと弁護士法人ベリーベスト法律事務所の懲戒処分の要旨を以下のとおり掲載し公表した。

 

【参考リンク】

 東弁会報【リブラ】4月号『懲戒処分の公表・懲戒理由の要旨』弁護士法人ベリーベスト・酒井将弁護士・浅野健太郎弁護士・

 

懲 戒 処 分 の 公表

本会は下記会員に対して、弁護士法第57条に定める懲戒処分をしたので、お知らせします。

 

被懲戒者     酒井 将   (登録番号 29986) 

         浅野健太郎  (登録番号 30001)

         弁護士法人ベリーベスト法律事務所 (届出番号486)

登録上の事務所  東京都港区虎ノ門5-3-14 日産研会館2階   

         ベリーベスト虎ノ門法律事務所

懲戒の種類    上記被懲戒者いずれも業務停止6月

効力の生じた日  2020年3月12日

 

懲戒理由の要旨

1 被懲戒者弁護士法人ベリーベスト法律事務所(以下「被懲戒法人」という)は、司法書士法人新宿事務所(以下「新宿事務所」という)から2014年12月25日から2017年3月31日までの間、簡易裁判所の事物管轄である訴額140万円を超える過払金請求事件(以下「140万円超過事件」という)の紹介を受け、新宿事務所に対して1件につき一律19万8000円(消費税込)になっている。また期間内に新宿事務所から被懲戒法人に紹介がなされた案件数は月に300件を超え、全期間の合計で7000件ないし8000件に達し、反復継続して大量の140万円超過過払事件が紹介された。

2 被懲戒者酒井将(以下「被懲戒者酒井」という)は被懲戒法人の代表社員として新宿事務所との間で業務委託契約を締結すること及び140万円超過過払事件の紹介を受けたときは、1件につき19万8000円を新宿事務所に支払うことを決定し、現に支払っていた。 

3 被懲戒法人が新宿事務所から140万円超過過払事件の紹介を受け、新宿事務所に対して1件につき19万8000円の紹介料を支払う行為は、弁護士職務基本規程(以下「基本規定」及び弁護士法(以下「法」という)第27条(非弁護士との提携の禁止)法第30条の21(弁護士の義務等の規定の準用)に違反し法第56条第1項の品位を失うべき非行にあたる。

また、被懲戒者酒井及び被懲戒者浅野は、被懲戒法人の代表社員として、被懲戒法人の上記行為について決定をしたものであり、これは法第56条第1項の品位を失うべき非行に当たる。 

4 被懲戒法人らは、19万8000円は、事件紹介や周旋の対価ではなく、新宿事務所から引き継ぐ成果物の対価及び訴状等裁判所作成支援業務の対価であり、新宿事務所にすれば、司法書士が合法的になし得る実体のある業務の合理的な対価であると主張する。 

しかしながら、① 被懲戒法人が新宿事務所に業務委託をし。その成果物の引継がなされたとは認められない。この成果物は新宿事務所が受任したことにより自己の業務に基づき作成されたものであること

② 従って、新宿事務所と依頼者との間でこの対価が発生しておりその間で清算が行われるべきであり、当該依頼者に無断で被懲戒法人が新宿事務所に対して対価なるものを支払うべき筋合いではない。かくして、被懲戒法人が依頼者から弁護士報酬を受け取ってない段階で、新宿事務所に対して一定の金員の支払をすることは事件の紹介に対する対価であるか、仮に他の趣旨が併存しているとしても少なくとも事件紹介の対価が含まれていることは否定できないこと 

③ 弁護士への事件紹介は無償であることが原則とされ、弁護士が事件屋から事件を受任することが禁止されている現行懲戒制度の下では、第三者が事件及び依頼者を対価の支払を伴う取引の対象とすることは禁止されているのであって、本件でも19万8000円が成果物の譲渡の要素のみから含まれているとみるべきこと 

④ 新宿事務所と依頼者の間では、成果物に係る業務については無償であることが委任契約書に明記されているので、依頼者は新宿事務所に19万8000円を支払う義務があるとは認識しておらず、また新宿事務所も被懲戒法人も依頼者に対して、被懲戒法人から新宿事務所に19万8000円の支払がなされていることを説明し、同意を得ていた事実はなく、依頼者の知らないところで金銭授受が行われていたこと、 

⑤ 本件スキームは市民の権利救済という美名の下で、結果として事件紹介業をビジネスとして成立させてしまう危険性があり、弁護士がこれに加担する結果を招くことになって、許されないものであること、

⑥ 裁判書類作成業務の委託についてもその必要性の疑義があり合理性が認められないこと 

⑦ 被懲戒法人が主張する対価の相当性についても疑念があること

⑧ 被懲戒法人は、いわゆるワンストップ・サービスを提供したものとして、基本規程第12条の報酬分配規制の例外としての「正当な理由がある場合」に該当して許容されると主張するが、正当な理由による報酬の分配とは到底認められないこと、

⑨ 依頼者の金銭負担が増えていないとは必ずしも評価されず、

⑩ ガイドライン等が制定されていないことと本件取引の成立は何ら関係なく、明らかに基本規程第13条第1項に違反するものであること等の事実からすれば、被懲戒法人らの主張には理由がない。

また、法第27条違反についても新宿事務所は、法72条後段の構成要件である①周旋行為を②業として、③報酬を得る目的で行っている。 

ただ、認定司法書士を法第72条にいう非弁護士として断定してよいか議論があるところではあるが、法第72条但し書きの反対解釈として認定司法書士の周旋については、非弁護士と言わざるを得ない。

被懲戒法人らは、新宿事務所から案件の紹介を受けることにより訴訟提起をして(紹介案件の70%から80%の割合)貸金業者から平均360万円程度の回収を行い、平均して96万円の弁護士報酬を取得した。このうち20%に相当する金員を新宿事務所に支払っている。

本件の被懲戒法人らの行為は紹介先が140万円超過払事件につき代理権を有しない司法書士からの紹介案件であることを考慮しても、その規模においてこれまでの非弁提携案件と比較して非行性が強いものである。結果的には90万円強の弁護士報酬を獲得するために、紹介料を支払い、事件の買取りをしていたと評価することができ、強い非難を受けることはやむを得ないところである。 

懲戒請求後、被懲戒法人の業務活動を事実上停止させ第二東京弁護士会に新たに弁護士法人を設立して支店(従事務所)を移動して活動するなど、「懲戒逃れ」と見られてもやむを得ない行動もしている。 

その一方で、被懲戒法人らの業務そのものは、前件訴訟提起を原則に、依頼者の利益のために極大回収を目指してしたこと、依頼者に紹介料を全額転嫁しているとまでは認められないこと、司法書士が受任できない140万円超過払事件の依頼者を放置できないと考えた動機にも斟酌できるものがあること、依頼者から被懲戒法人らの業務についてのクレームが本会に多数寄せられているまでとは言えないこと等、被懲戒法人らに有利な事情も認められる。

以上の事情を総合的に考慮して上記懲戒の種類とした。 

 

2020年3月12日 東京弁護士会会長 篠塚 力

 

この懲戒処分の内容から分かったことは毎月300件もの過払い案件が司法書士法人新宿事務所から「元祖」に送り込まれ、その総数は8000件にも達したことと、「元祖」から新宿事務所に支払いされた1件あたり19万8千円の性質は成果物の対価などではなく単なる紹介料と断じられていることである。そして、本件スキームは市民の権利救済という美名の下で、結果として事件紹介業をビジネスとして成立させてしまう危険性があり、弁護士がこれに加担する結果を招くことになって、許されないものであることと断じられているのである。

要するに「元祖」は司法書士法人とはいいながらも非弁護士である司法書士法人新宿事務所(その判断には議論があることは述べられている)との間の非弁提携による「送り」の報酬を支払っていたと判断されているわけである。

「送り」側の司法書士法人新宿事務所は平成29年4月まで大々的にTVやラジオでCMをオンエアし派手に集客を図っていたが、平成30年3月31日に社員の総意により解散となり、令和元年8月13日に精算が決了している。しかしながら、この新宿事務所と同じ住所にある「司法書士法人中央事務所」(旧名 司法書士法人中央新宿事務所)が、新たに設立され本日現在も「元祖」が離脱したために2つの弁護士法人で運営されている「ベリーベスト法律事務所」と同じようにクレジットカードなどを掲載し「過払い」の集客を行う手法で営業を行っているのである。

 

【参考リンク】

・司法書士法人中央事務所

 

 ベリーベスト法律事務所のポスティングのチラシの提供を頂きました 日本全国いつでもどこでも230名の弁護士と専門スタッフが迅速対応するそうですが、あまり品位のある広告とは思えませんね

 

  上記2つのリンクをご確認いただければ、ベリーベスト法律事務所と中央事務所の集客手法が極めて似ていることが確認いただけると思う。今はすでに「提携」は存在しないとも思われるが、「似た者同士」であることは間違いないだろう。

また、懲戒処分の要旨においては懲戒請求後、被懲戒法人の業務活動を事実上停止させ第二東京弁護士会に新たに弁護士法人を設立して支店(従事務所)を移動して活動するなど、「懲戒逃れ」と見られてもやむを得ない行動もしている。として、ベリーベスト法律事務所としての「潜脱」行為についても指摘を行っている。東京弁護士会は、この「元祖」の「潜脱」行為を認定したのであれば、対象弁護士と法人としての「元祖」は「「退会命令」に処すべきではなかったのであろうか?懲戒処分を無効化するために他の単位弁護士会に法人を登録し、事務所名称を「元祖」と同じ「ベリーベスト法律事務所」として運営することは品位を汚すだけでなく、法令遵守の精神も踏みにじる行為であると思うからだ。

「元祖」所属の酒井・浅野弁護士は、この「潜脱」行為の理由をきちんと自らの言葉で語るべきであろう。その理由が「依頼者の保護」のために行ったというのであれば正々堂々と、そのように言えばいいのである。こそこそと弁護士法人を別途設立し懲戒逃れの「潜脱」行為を行うことは卑劣で姑息な手段であると筆者は考えるからだ。

しかし「過払い」バブルは確実に弁護士の能力・品位を低下させたことは間違いないだろう。「過払い」の確立のために法廷で戦ってきた、宇都宮健児弁護士らを始めとする弁護士らの理念を全く理解しない欠陥弁護士や何のスキルもない弁護士らも、過払い金の引き直し計算さえすれば大金が転がり込むという状態になったために、若手弁護士らも「過払い」のおこぼれに与るために「即独・即提携」というような連中も現れたし、欠陥弁護士たちをめぐり、暴力団や半グレまで加わり争奪戦が繰り広げられた事も珍しくはなかった。それだけ弁護士を抱えられればカネになるという風潮があったのである。

消費者金融かカード会社に請求を送れば、あとはどこを落としどころにするかだけないので、馬鹿でも交渉はできるし、訴訟提起と言っても証拠は過払い計算書であり、フォーマット通りの訴状で当事者と金額を入れ替えるだけであり、経験の蓄積にもならないわけだ。こんな楽な仕事で銭がどんどん金融会社から流れてくるのだから、複雑な案件の流れを読み解き、適切な法解釈のうえで訴状を起案することなど面倒になってしまうのであろうと思われる。

話は大きくそれたが、反復継続した「非弁提携」と懲戒処分逃れのための「潜脱」行為を行った、弁護士法人ベリーベスト法律事務所と酒井・浅野弁護士らには退会命令ぐらい与える必要があったわけであり、この潜脱行為を見逃せば、同じような手法で懲戒処分の無効化を図る連中が今後も現れるであろう事を指摘しておきたい。

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