日弁連のトップページにマイナビの学生の窓口にタイアップ企画「世の中のピンチを救う弁護士の魅力 続々」をリリースしましたという案内があった。
【参考リンク】
見て頂ければわかるが、本当にいい加減な内容である。弁護士についての「ウワサ」と「ホント」というコンテンツを以下に分析してみたい。
https://gakumado.mynavi.jp/contents/m/articles/gmd/_tu_nichibenren/qa/
ウワサ1
常にハードワークでストレスが多そう
サイトでのお答え 時間の使い方は自分で決められるのであまりストレスは感じません。
実際 仕事がなければ暇だけど銭も入りません。雇われている弁護士は総じてハードワークですよ。時間の使い方が自分で決められるとは大したもんですね、接見の呼び出しだがあっても行かないとか、期日をすっぽかすこともママあるという事なんですかね?
ウワサ2
法学部出身でないと弁護士になれない
サイトでのお答え 他学部や社会人を経てからでも弁護士になれます。
実際 こんなことも知らない大学生がいるとは思えないのでコメントしません。
ウワサ3
敵との争いに勝つために必死そう
サイトでのお答え 争いを起こさないようにしたり「和解」を目指すことの方が多いです。
実際 こんなうわさなどありませんし、弁護士は仕事をしているだけで、相手方を「敵」などとは思っていません。でも最善の結果を出すために必死で努力するのは当然で、「和解」を目指すことが多いなどいう安直極まりないお答えはありえません。依頼者から銭をもらって争っているんですから、わかるでしょ。
ウワサ4
ほぼ1日中オフィス内で仕事していそう
サイトでのお答え 事件現場の検証、情報収集などオフィスの外にいる時間も多いです。
実際 事件現場に足を運ぶ弁護士など極めて稀です。弁護士は証拠に基づき事実関係を見極めるので、デタラメなドラマみたいに一つの事件のために目撃者を探し回ったりしません。現場を見に行くとか言っても、痴漢の現場である電車にわざわざ乗ったりするわけないのも分かりますよね。基本的には事務所で仕事をするのがマトモな弁護士です。依頼者にタカって飯や酒をねだるために食事をしながらの打合せを希望したり、喫茶店で面談するような弁護士はマトモではありません。
ウワサ5
仕事と家庭の両立が難しそう
サイトでのお答え 自分でマネジメントが出来るので、実は両立しやすいんです!
実際 暇ならそうだろうけど、そんな人は喰っていけないよ。裁判の期日はあらかじめ決まっているし、刑事事件では被疑者・被告人に接見して捜査の状況を把握することが重要だから、接見室が少ない警察署では2時間待ちとかもザラにあることですから、そんなわけでないですよ。
こんな適当なタイアップ記事を垂れ流しても弁護士志望者が増えるわけがないことを日弁連は自覚するべきであろう。弁護士志望者は以下の記事を参考にするべきであろう。
【参考リンク】
優秀な新人が次々犠牲に…「ブラック弁護士事務所」の恐ろしき実態
上記の記事はそのまま鵜呑みにできない点も多々あるが、ブラック事務所の若手弁護士の実情をとらえている面もいくばくかはあるようだ。確かに弁護士が儲かる仕事でなくなった事は事実ではある。需要と供給のバランスが崩れているのも事実である。しかしながら弁護士という職業は労働基準法を順守していたら到底できるわけもないことも事実であるし、大体雇われているにしても弁護士というのは基本的には個人事業主なのであるから、理不尽な状態に置かれたのであれば自ら法的措置を執れば良いだけなのである。弁護士業界は確かにムラ社会かもしれないが、別に所属弁護士会で役員になりたいとか思わなければ「ムラ社会」に染まる必要もないはずなのである。
2割司法の解消を目指し弁護士大増員を図ったが、結果的に弁護士の質の低下と弁護士費用のダンピングが蔓延るだけになり、誇大広告で客集めをする事務所が激増し、「即独」なども増え、きちんと若手を教育できる体制に無い事務所が増えたことで、裁判所の手間は増えるばかりになったというのが実情であろう。
日弁連はいい加減なタイアップ企画よりも、弁護士不祥事対策やカルパ制度の導入に力を入れるべきだろう。