日弁連会長選挙の決選投票が11日に行われ、荒弁護士が山岸弁護士との間の決選投票を制して、時期日弁連会長に内定した。以下、福島民報が12日付で配信した「日弁連会長に荒氏(相馬出身) 仙台弁護士会 東北から初当選」以下の記事を引用する。
日弁連(会員約四万二千人)は十一日、菊地裕太郎会長(68)の任期満了に伴う次期会長選の再投票を行い、仙台弁護士会の荒中(あら・ただし)氏(65)=相馬市出身=の当選が決まった。十八日の選挙管理委員会で正式決定する。任期は四月一日から二年。
荒氏は相馬高、東北大法学部卒。一九八二(昭和五十七)年に弁護士登録した。仙台弁護士会長、日弁連の副会長や事務総長を歴任した。
日弁連によると、現行の選挙制度になった一九七五年以降、福島県出身者が会長に選ばれるのは初。東北地方の弁護士会所属の弁護士が会長に選ばれるのも初めてという。
会長選では過去最多の五人が立候補したが、二月七日の投開票で当選条件を満たす候補者がいなかったため、得票上位二人による決選投票となった。
引用以上
日弁連のウェブサイトにおいては開票結果の仮集計が掲載されている。
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上記の投票結果を確認すると、東京三会においても「主流派」と目されていた山岸弁護士は自らの所属する第二東京以外は勝利できず、神奈川・千葉においても敗れているので、実際には得票差以上の惨敗であったことが理解できる。
獲得した弁護士会は39対12と圧倒的に荒弁護士の勝利であり、都市部においても地方においても山岸弁護士は支持を伸ばせなかったという事である。
弁護士自治の信託者とされている国民からすれば、日弁連の会長が誰になろうと市民生活には基本的に変わりは無いわけであるが、「同僚裁判」であり、処分に均衡を欠く弁護士懲戒制度の改革や、カッパライ・横領の温床となっている「預り金」制度についての改革を早急に行って欲しいというのが正直な心情であろう。社会正義の実現を使命とする弁護士の非行に対する懲戒処分のいい加減さ、デタラメさは弁護士不祥事の抑止力となり得ないばかりでなく、長期にわたる審議により懲戒処分が下る事頃にはすでに対象弁護士が刑事罰を受け弁護士資格を喪失してしまったり、弁護士会によっては弁明書すら懲戒請求者に公開しないこともあるので、クレメンティレポートに基づき懲戒を審議する期間を第三者に委託する事を決断するような指導力・実行力を持つ日弁連会長の登場に期待したいところであるが、実際にはそんな人物は未来永劫現れないだろうし、そう考える弁護士が日弁連会長選挙に出馬しても落選することは決定的なので、国民にとって望ましい日弁連会長が出現する事は現段階においてはあり得ないのである。
今後も「弁護士の弁護士による弁護士のための弁護士自治」を日弁連・各単位弁護士会が継続するのであれば、日弁連は「社団法人」に改組するべきであろうと筆者は考える。
荒新会長には、弁護士自治の信託者である国民を失望させないような、弁護士不祥事について厳然たる姿勢で臨む事と、欠陥弁護士を放置することによる被害拡大を防ぐための各単位弁護士会の指導監督連絡権の強化と適切な行使を行う事を希望したい。