「元祖」ベリーベスト法律事務所は昨日12日に業務停止6月の処分を受けたところであるが、「元祖」が運営するベリーベスト虎ノ門法律事務所は早速コメントを出して東京弁護士会の処分を批判している。
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東京弁護士会による業務停止6月の処分に対する弁護士法人ベリーベスト法律事務所のコメント
このコメント要点は以下のとおりだ。
1 処分には不満だから日弁連に審査請求を行う。
2 ベリーベストと司法書士法人新宿事務所は法令に違反しないと考えて行った。依頼者の利益を考えての行為である。
3 東京弁護士会の法解釈が、ベリーベストと異なるとしても、このような事案を「品位を失うべき非行」として懲戒するのは相当ではない。
4 この件では被害者はいない。
5 東弁の会請求だから、初めから結論ありきだ!
この「元祖」の主張について検討をしていく。
1 については勝手にすればいい事であるから論評しない。
2 については、依頼者の利益のためという点は否定しないが、自分たちの利益のために送り側の司法書士法人新宿事務所と提携した事は事実であり、1件につき一律の金額を支払っていた事実は依頼者の「買取」と言われても仕方ないだろう。
3 こんな行為は明らかに品位に欠けると思いますよ。
4 被害者がいなければ何をしてもいいという考えに他ならないような気がします。
5 こんな長期にわたる審議を行ったのも「結論ありき」という事実を隠蔽するためと言いたいんですかね?
まぁ、この懲戒処分の内容はともかくとして用意周到に懲戒処分の「潜脱」を準備していた事は確かであり、筆者からすれば「元祖」が東弁を批判するのであれば、「不当な懲戒処分を回避し、依頼者の皆様にご迷惑をお掛けしないために、ベリーベスト法律事務所は3つの法人で運営を行います」とアナウンスしておくべきだったはずであり、新法人を作って懲戒処分の潜脱を図った事は姑息な行為に他ならないと思う。こんな姑息な手段を使う3つのベリーベスト法律事務所は自らの信用を低下させているだけではないかと思われる。
カネだけを追いかける弁護士は、必ずいつか「カネに追われる」弁護士になるものであると筆者は確信している。商売である以上は正当な報酬をもらう事は当然であるが、大量の広告を打って客集めをしていた司法書士法人からの依頼者の買取と思われるような行為をすることについては「提携」と看做されても仕方のない事だと筆者は考える。
司法制度改革で弁護士が大量増員されて以降、「新興事務所」は数多く設立された。確かにインターネットを主な集客手段とする新興事務所が弁護士の敷居を下げたことは間違いないだろうが、断定的判断の提供としか思われないような広告を出稿したり、弁護士に依頼すれば全てがうまく行くような印象を与える広告を出すことが多い事も確かだ。
弁護士業界も時代の流れと共に、その形態も変わっていくことは必然ではあるが、この大手新興事務所であるベリーベストの中核にあった、「元祖」とその首魁の弁護士らへの懲戒処分は今後の弁護士業界の変化について多くの示唆を与えていると筆者は考えている。