弁護士自治を考える会は19日付で「山崎佳寿幸弁護士(熊本)懲戒処分の要旨 2019年11月号」として以下のリンクの記事を配信した。
【参考リンク】
弁護士自治を考える会 山崎佳寿幸弁護士(熊本)懲戒処分の要旨 2019年11月号
上記リンク先で懲戒処分の要旨を御確認頂いて欲しいが、極めてまれな懲戒処分であり、家裁の調停期日において調査官と口論になった際に、机を両手で山崎弁護士が持ち上げて机の上の書類が落ち、机が調停委員の腹に当たったということが懲戒事由になっているのである。
弁護士自治を考える会は、ユーモアを交えながら、家裁の調停委員・調査官の「他人事」感覚を指摘しているが、多くの家事調停の当事者がそのように考えている事も間違いのない事実なのである。
確かに山崎弁護士の行動は、弁護士として関心はしないし、口論になったからといって「ちゃぶ台返し」を企図した「実力行使」と考えられても仕方のない行動ではある。多くの弁護士が、「話し合い」による家事事件の解決は申立人・相手方共に「常識人」でなければ無駄であることは良く理解している筈である。基本的には「調停前置」という制度ゆえに、無駄な時間と「他人事」感覚で、調停を捌く調停委員や調査官のご意見を拝聴し不毛な話し合いを行う事は弁護士にとっても依頼者にとっても不利益であるはずなのである。
そもそも家事事件というものは、証拠などの採取が困難であり、相互の「主観」言ってみれば「思い込み」が正面からぶつかる事が多く、不毛な主張を繰り返すことが多い事も特徴だ。そんな家事事件についても「闘う」事を信条とするなどといって、相手方を誹謗中傷することで依頼者の溜飲を下げさせ着手金をふんだくる弁護士も数多く存在するのである。
家事事件については法による解決は難しく、調停委員や調査官に第三者の家庭の事情を詳細に把握して適正な意見を述べてほしいと思ったとしても、そんな事は無茶な要求であり、人の家庭の状況など、どんな優秀な人間であっても分かるはずはないのである。
山崎弁護士が調停委員や調査官のどのような行動・言動に激高したのは懲戒処分の要旨からは読み取れないが、家庭裁判所の機能・役割を見直して裁判所の負担も減らし、調停委員や調査官の役割も見直し、家事事件の制度自体を見直す必要がある事は確かだろう。
離婚が当たり前となり、超高齢化社会となったわが国では成年後見の申立も今後増加することが見込まれるが、今の家庭裁判所の状況では、増加する家事事件に対して人材の増員などの対応ができるとも思えない。
今回の山崎弁護士の懲戒処分に記された行為の詳細を家庭裁判所自体が明らかにして、なぜこのような事が起きるのかもしっかり究明することも必要であろう。
山崎弁護士の「実力行使」は弁護士の質の劣化なのか、それとも「実力」を行使する事まで辞さなくなったという「進化」なのであろうか?そういえば法務局で「ケンカ」をしたと自分でブログにアップしていた弁護士もいた事を思い出した。このような弁護士に増加に対して弁護士自治で何とかなるのかも考えなければならないはずだ。