「人質司法」の脱却についての声明 人質司法の改革を行うならば抜本的な刑事司法制度の改革を 特定の事件についての「人質司法」批判は見苦しいだけです

時事通信は10日付で『「人質司法」脱却を=弁護士、法学者が声明-日産事件』として以下の記事を配信した。

 

日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)の事件で、日本の刑事司法への批判が海外で強まっているとし、弁護士や法学者が10日、否認していると保釈されない「人質司法」からの脱却を求める声明を発表した。

  声明は司法手続きの現状について、「罪を認めるまで身体拘束を続け、長時間の取り調べを弁護人の立ち会いなく受忍させている」と批判。黙秘権や公正な裁判を受ける権利など、憲法で保障された人権を侵害していると訴えている。

  声明の呼び掛け人には、ゴーン容疑者の弁護人も加わり、これまでに1010人が賛同。法務省や最高裁などに提出したという。 

 

引用以上

 

日本国憲法第34条は

何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

と定められており、正当な理由が存在しなければ拘束はされずと規定している。そうなると、身柄の拘束についての正当な理由の有無が問題になるわけであるが、日弁連の保釈についての見解(日弁連 保釈・拘留ハンドブックに記載された見解)などでは、正当な理由の根源は「adequateause」(十分な理由)とされ、これは、「明白かつ確信を抱くに足る証拠」(clear and convincing evidence)に近いものと解釈され、その上で憲法34条にいう「正当な理由」とは、80%の確実性とされる「明白かつ確信を抱くに足る証拠」(clear and convincing evidence)に近い内容を有する「十分な理由」(adequate cause)を意味するものだとして、敢えて確率表現するならば70~80%の確実性だとしている。そんなことから、保釈不許可事由の存在については、上記の憲法34条の要請ないしは趣旨からするならば、「十分な理由」(adequate cause)程度の、確実性が求められなければならないはずだと解釈しているのである。

日弁連の見解はもっともであり、保釈についての可否に「十分な理由」を求める事は当然であろうと思われる。では、何度も再逮捕などが繰り返された場合や、保釈がなかなか許可されない場合の「人質司法」批判は「十分な理由」が存在する場合は批判に当たらないという事にもなるだろう。

基本的には、勾留というのは証拠隠滅や逃亡などの虞がある場合の例外的な措置でなければならず、一般の社会人で住所が定まり定職を持つ者については、そのような虞は無いと判断されるべきなのであるが、そのような運用がなされていないのも事実であり、「人質司法」を批判する弁護士らは抜本的な刑事司法の改革を訴えるべきなのである。特定の事件に特化した「人質司法」批判は行うべきではないというのが筆者の見解である。

確かに「罪を認めるまで拘束を続ける」ようなことがあれば非人道的であるが、犯罪を立証する「十分な理由」が存在する場合はどのような対処・措置が最善なのかを法曹関係者・法学者・政治家ともに深く考察するべきであろう。

何よりも「冤罪」防止や、民事事件と思しき債権債務の問題を無理やり「詐欺」とか「強要」として人間関係で無理やり刑事事件化し逮捕勾留を行う事を防止する事が先決であり、「人治」ではない「法治」を徹底することが必要なのである。

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