読売新聞は19日付で、『「横領したのか」弁護士の証人尋問「名誉毀損」』として、以下の記事を配信した。
民事訴訟の証人尋問で名誉を傷つけられたとして、甲府市の女性が、山梨県弁護士会所属の小笠原忠彦弁護士(65)に300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(中西茂裁判長)は18日、請求を棄却した1審・甲府地裁判決を変更し、100万円の支払いを命じた。
判決によると、女性は2016年、同地裁で開かれた労働裁判に被告の会社側証人として出廷。原告側代理人の小笠原弁護士は女性に「前の仕事で3000万円横領し、辞めたのではないか」などと質問した。
女性は「犯罪者であるかのような質問をされ、名誉を毀損(きそん)された」として提訴。1審は「質問に違法性があるとはいえない」と判断したが、高裁判決は「横領の証拠はなく、質問の必要性も疑問だ」として、正当な訴訟活動と認めなかった。
小笠原弁護士は取材に「尋問が自由にできなくなるような判決だ。上告を検討する」と話した。
引用以上
何らかの証拠があって証人に「3000万円の横領」という質問をするのであればともかく伝聞などでそんな事は聞くべきではないし、労働関係の裁判の会社側の証人に対する質問としては、要件と何らも関係なく不適切であることは間違いないだろう。
筆者の考えでは100万円という判決の金額は高いように思えるが、このような判断になった何らかの要件があるのかもしれないので何とも言えない。
民事訴訟の証人尋問では、依頼者へのサービスのために不適切な質問をする弁護士が増加しているような気がするので裁判所は証人尋問について何らかの統計を取るべきであろう。
東京高裁は、このような質問を正当な訴訟活動を認めない判断をしたのであるから、各単位弁護士会も依頼者サービスの為だけの訴訟と何らの関係のない質問をすることをしないように所属会員に研修でも行うべきであろう。わざわざ長い時間を取って、法廷を開く裁判所の身になって各単位弁護士会は考えて欲しいものである。