産経新聞の「弁護士の懲戒処分者 4割超が経験30年以上」という記事について

産経新聞は5日付で「弁護士の懲戒処分者 4割超が経験30年以上」として以下の記事を配信した。

 

依頼を受けた案件を放置したり、預かり金を流用するなどしたとして、平成28年までの5年間に懲戒処分を受けた弁護士のうち、4割超を実務経験30年以上のベテランが占めることが4日、分かった。実務経験10年未満は2割弱だった。早稲田大大学院の石田京子准教授(法曹倫理)が、24~28年に全国の単位弁護士会が個人に対して出した懲戒処分519件を分析した。

  弁護士数は増加を続け、今年8月1日現在で4万3人。懲戒処分も増加傾向で「若手が弁護士の質を下げている」との声もあるが、若手よりもベテランが懲戒処分につながるトラブルに関わる傾向にあることが明らかになった。

  弁護士の懲戒処分は戒告▽業務停止(2年以内)▽退会命令▽除名-の順で重くなる。石田氏は公表された処分者の弁護士登録番号から、弁護士としての実務経験年数を推計。分析の結果、戒告(計307件)のうち44・3%が実務経験30年以上のベテラン層で、同20~29年が19・2%、同10年未満の若手層は17・9%だった。1年未満の業務停止(計160件)でも、実務経験30年以上が37・5%を占め、同20~29年が25・6%、同10年未満が16・9%となった。

  各世代の弁護士数全体に対し、何らかの処分を受けた人数の割合(処分リスク)は実務経験20~39年で比較的高く、同10年未満のリスクは弁護士全体のリスクの2分の1以下だった。

  懲戒理由を見ると、金銭トラブルや私生活上の非行などは半分以上が業務停止となる一方、不適切な弁護活動や守秘義務などに関するトラブルは80%以上が戒告にとどまった。

  石田氏は若手の処分リスクが低い点について「一般的には、若手弁護士は先輩の指導を受けながら業務を行うことが多く、扱う金額もベテランよりも低い傾向にあるため、深刻な金銭トラブルに巻き込まれる機会が少ないのではないか」と指摘。「昔ながらのやり方を続け、現代に求められている職業倫理に適応できないベテランほど、トラブルに直面するリスクが高い」としている。

 

引用以上

 

産経新聞の記事は、早大大学院の石田准教授が懲戒処分のデータを分析した内容を紹介しており、極めて示唆に富むものである。戒告処分を受けた弁護士のうち44、3%が実務経験30年以上のベテランであるという指摘は、確かに一部のベテラン弁護士の倫理意識の鈍磨を表している事も事実であるが、それなりの人脈を持つベテラン弁護士であるからゆえに、「戒告」処分で済んでいるという実態ではないかと筆者は思うのである。

また、若手の処分リスクが低い理由を若手弁護士が先輩の指導をうけながら業務を行うことが多いことや扱う金額が低いことを理由に挙げているが、本当にこのような指導がなされていれば、若手弁護士が有能な弁護士に育つことは確かである。このような環境が無い事務所や、「即独」弁護士らには、上記の指摘は当てはまらない事から、一部の若手弁護士が「即独・即非弁提携」を行ったり、独自の見解をこねくり回す意味不明な主張を裁判で行う事も事実なのである。

しかし、石田准教授の分析は懲戒処分を客観的に分析した貴重なものである。日弁連・各単位弁護士会の不祥事対策に当たるセンセイ達は、石田准教授の分析に真摯に耳を傾けるべきであろう。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中