共同通信は23日付で「佐川宣寿氏、改ざん関与認める 刑事処分を検討へ」として以下の記事を配信した。
学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る決裁文書改ざんで、財務省理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官が周辺に改ざんへの関与を認めていることが23日、関係者への取材で分かった。大阪地検特捜部は同日までに佐川氏を任意聴取。改ざんの指示の有無や動機を中心に確認したとみられる。虚偽公文書作成容疑などについて立件の可否を見極める。
複数の財務省職員は特捜部の任意聴取に対し「(改ざんは)佐川氏の指示と認識していた」と説明している。一方、佐川氏は3月27日の証人喚問で「刑事訴追の恐れがある」として自身の関与は証言拒否した。
改ざんは国有地売却問題が発覚した後の昨年2月下旬~4月、14件の決裁文書で行われた。関係者によると、財務省理財局が近畿財務局にメールなどで指示していた。麻生太郎副総理兼財務相は、佐川氏の国会答弁と齟齬(そご)がないようにするためだったと説明している。
佐川氏は証人喚問で安倍晋三首相や官邸側からの改ざんの指示は明確に否定。「官邸に報告することなく理財局の中で行った」と述べたが、指示系統は語らなかった。
特捜部は学園側と交渉した近畿財務局の担当者らが不当に安く国有地を売却したとする背任容疑、佐川氏らが交渉記録を廃棄したとする公文書毀棄(きき)容疑などの告発を受けて捜査してきた。その過程で改ざんについても把握。佐川氏への任意聴取の内容を踏まえ、改ざんも含めた一連の問題について刑事処分を検討するとみられる。
佐川氏は証人喚問で国有地の貸し付けや売却に関する学園との契約に関し、安倍首相や安倍昭恵首相夫人の影響はないと主張した。
引用以上
森友学園の国有地売却問題が発覚したのちに決裁文書の改竄を行ったことは事実なのであるから、まぎれもない犯罪行為であることは間違いないだろう。佐川氏の国会答弁との辻褄合わせという側面もあるだろうが、この文書改竄で改竄前の決裁文書に、安倍首相や昭恵夫人についての記載があったものが削除されているのであるから、官邸側からの働きかけ、もしくは官邸に対する「忖度」があったのではないかと考えることは当然であろう。
佐川氏は国会答弁では安倍首相や昭恵夫人の影響はないと答弁していたが、その言葉を額面通りに受け取っている国民は極めて少数であろう。今後の大阪地検特捜部の捜査により、そのあたりの問題も明らかになっていくことを期待したい。
佐川氏の国会における証人喚問の時には、のぞみ総合法律事務所の熊田彰英弁護士が補佐役を務めていたので、佐川氏が起訴をされれば熊田弁護士が刑事弁護人になることが予想される。熊田弁護士は「ヤメ検」であり、最高検に所属時は元大阪地検特捜部長らが有罪となった証拠改竄事件の公判を担当した弁護士であり、弁護士登録後は小渕優子議員の政治資金規正法違反事件の関係者の刑事弁護人を務めるなど、自民党関係者と深いパイプがある弁護士のようである。
刑事弁護の場合は、被疑者被告人の利益のために最善を尽くすことは当然である。どんなに社会的に批難を受けても刑事弁護人は被疑者被告人のために活動をすることは必須なのであるが、刑事訴追前の佐川氏に国会の場で「刑事訴追の恐れ」を理由にまともに答弁をしないようなアドバイスをしたのが、熊田弁護士であるなら国民からしたら納得できない事は当たり前であろう。
今後の大阪地検特捜部の捜査に大いに筆者は期待している。佐川氏の指示による文書改竄問題は、国民を無視し自分たちと政治家たちの体面を守るためのモノでしかないからである。