「即独」「スマ弁」に依頼したいと思う依頼者はほぼいないはず、徒弟制度を破壊した司法制度改革が招いた弁護士の価値の低下

ダイヤモンドオンラインは21日付で『新人弁護士「年収100万でファミレスバイト掛け持ち」貧困の実態』として以下のリンクの記事を配信した。

 

【参考リンク】

新人弁護士「年収100万でファミレスバイト掛け持ち」貧困の実態

 

この記事で「即独」「スマ弁」の苦境が述べられているが、事務所も持たない弁護士に依頼を行う依頼者など知人以外にあるはずもない事も当然である。人に聞かれたくない話を聞き取りするのが弁護士の業務であるのにファミレスやコーヒー店で込み入った話など聞くほうがどうかしているのである。弁護士が「キサブロー」(喫茶店ブローカーの事、昭和の時代からこう呼ばれています)と同じではどうしようもないのである。

司法試験合格までの支出と弁護士として登録後の収入が割に合わないというのも、当たり前のことで記事中にあるように事件のパイが減っているにもかかわらず、弁護士が増えたのだから食えるわけがないのである。そんな状況だからこそ検事として考えられない行為を起こして実質的にクビになった「ヤメ検」が事務所の収入が不安定だとして、刑事事件の着手金で2000万円を請求するのである。

法律事務所の勤務実態についても述べられているが、ブラック企業と言われようと依頼者からの要望に応えるには長時間の労働にならずを得ないだろう。例えば刑事事件を受任すれば、被疑者・被告人の接見に赴くことになる。日中は裁判所に行ったり、打ち合わせが多い事から警察署などに接見に行くことは必然的に夜になる。接見室が満室であれば、接見室が空くまで待っていなければならない、そうなれば深夜になる事も多い。接見室の予約などが警察署ではできないので、帰宅時間など読めるはずもないのである。民事事件にしても、資料の整理や読み込みは必須であり、それを怠れば職務懈怠であり依頼者からもクレームも寄せられる、依頼者からの資料も弁護士の要望通り出してくれれば苦労はないが、ぎりぎりになって出されることも多い、それを公判期日前に読み込み、準備書面を起草すれば時間もかかるものである。そのような弁護士の業務の実態を「ブラック企業」と同様であると考えるのは大きな間違いであろう。通常の人が考えるよりも弁護士の業務は激務であり、事実を読み込みながら法律構成を考えることには高い専門性と多くの知識と、業務の内容によっては依頼を受ける業界の知識も必要なのである。

専門性や知識が必要のない業務といえば、何と言っても「債務整理」「過払い金返還請求」である。この仕事なら「即独」でも十分可能である。だから、新司法試験世代がチェーン展開のような弁護士事務所をたくさん立ち上げたのである。競馬情報詐欺の前に立つ仕事をしながらも、詐欺師に対して請求を呼び掛けるような節操のない新司法試験世代の弁護士の一部は上記記事にあるように「浅ましい」と表現することが極めて適当である。こんな連中が、弁護士面しているのは大きな間違いであり、柔整業界に積極的に非弁提携の説明会を行っている「交通事故専門」の弁護士らも、今後も法律のエキスパートになる事はないだろう。そこには、求めるものが「カネ」しかないからである。

元々は弁護士は基本的には「徒弟制度」であり、職人としての技量を先輩弁護士から教わりながら、社会常識などもそなえていったのであるが、職人としての技量の必要ない「債務整理」「過払い金返還請求」が技量の伴わない若手弁護士らを勘違いさせたのである。

この引用記事は「衣食足りて礼節を知る」のは弁護士業界も同様であると述べているがこの主張は何度も筆者が繰り返し主張してきた事である。誰が考えても当たり前の事だという事だろう。

司法制度改革は弁護士へのアクセス改善と、身近な司法を目指してきたのであろうが、身近な弁護士になど誰も規定の料金など払うわけもないだろう。弁護士は敷居が高かったからこそ、適正な料金を得られたのである。弁護士に依頼をするという事が、一大事であったからこそ高い料金を支払いする気持ちになったと思うのであるが、ウェブ広告で「依頼者に寄り添う」とか「徹底的に闘う」として依頼者に媚びて集客を図る弁護士がいる限りは今後も弁護士の「貧困」は改善されないであろう。依頼者がどういおうと、法律に照らし合わせて無理なものは無理とハッキリ判断し申し伝えるのがあるべき弁護士の姿であり、小銭稼ぎのために客に迎合する弁護士がいるからこそ、司法に対する信頼も揺らいでいるからである。

弁護士が「職人」であるのだから、親方の下で一定期間の修業を行い「模倣」から入りこの世界の「流儀」も覚え、そのうち自分流の方法論を身に着ける方法は法科大学院制度よりも理にかなっていると筆者は考える。また適正な弁護士費用が弁護士の意欲も生み、弁護士の向上意欲も刺激することは当然である。あまりも適正でない法テラスの料金体系を見直すことは絶対に必要であるはずで、結果的には国民のためになることでもあるはずである。

 

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中