依頼者見舞金制度の議案可決 こんな制度よりもカルパ制度の導入を

NHKニュースは3日付で『相次ぐ弁護士の着服 日弁連が被害者に「見舞金」』として以下の記事を配信した。

 

弁護士による着服の被害が相次いでいることを受けて、日弁連=日本弁護士連合会は、不正が確認できた場合、被害者に最高で500万円の「見舞金」を支払う制度を新たに設けることを決めました。

日弁連は3日の臨時総会で、弁護士が成年後見制度の対象者や依頼者の財産を着服した場合に「見舞金」を支払う制度を新たに設けることを、出席者や委任した弁護士の賛成多数で決めました。制度の対象になるのは、被害額が30万円を超え、弁護士本人から賠償を受けられない人で、申請があれば日弁連が調査委員会を設けて事実関係を確認し、「見舞金」を支払うかどうかや金額を決めます。支払われる額は被害者1人当たり最高で500万円で、複数の被害者がいる場合は合計2000万円が上限となります。「見舞金」は来月1日以降に発生した被害を対象に、ことし10月から受け付けを始めるということで、費用は全国のおよそ3万9000人の弁護士が毎月納める会費で賄うことにしています。

また、臨時総会では、被害を防ぐ対策として依頼者から金を預かる口座を弁護士会に届け出るよう義務づけることや、弁護士会が弁護士の懲戒処分や苦情を申し立てられた場合などに、その弁護士が金を預かっている口座を調査できるようにすることも決まりました。

日弁連は「信頼される存在であるために、今後も全力を尽くします」とコメントしています。

 

後を絶たない弁護士の横領

日弁連が対策を打ち出した背景には、弁護士による横領などの被害が後を絶たないことがあります。最高裁判所によりますと、認知症の人などの財産を管理する成年後見人のうち、弁護士や司法書士などの専門職が横領などの不正を行った件数は、おととし過去最悪の37件となりました。また、不正による被害の額はおよそ1億1000万円に上っています。

こうした不正を防ぐため、司法書士で作る「成年後見センター・リーガルサポート」は、会員に最低でも年2回の業務報告を義務づけています。また、会員が財産を横領して被害を弁償できない場合に備えて、センターが見舞い金として500万円を上限に給付する制度を設けています。一方、弁護士会には被害を救済する制度がなく、どのような対策を打ち出すのかが焦点となっていました。

 

弁護士に着服された被害者は

弁護士に母親の財産を着服された被害者の女性は、日弁連の対策について「一歩前進ですが、より具体的な再発防止策が必要だと思います」と話しています。女性は、認知症の母親の成年後見人に指定された弁護士に母親の口座から金を着服され、被害額のうち3000万円余りは今も賠償されるめどが立っていません。女性は日弁連が3日に決めた「見舞金」の制度について「一歩前進ですが、被害者の中には私のように多額の金を横領されて、『見舞金』では全く被害が回復されない人もいます。すでに被害に遭った人たちは対象にならないことにも、やりきれなさを感じます」と話していました。また、弁護士会が、苦情が相次いだ弁護士に対して金を預かっている口座を調査するという対策については、「家族などが被害に気付いて苦情を言えればいいのですが、身寄りのない人などの場合は被害を防げないと思います。通帳のコピーを毎月提出させるとか、より具体的な再発防止策が必要だと思います」と話していました。

 

臨時総会は一時紛糾

日弁連の臨時総会では、「見舞金」を支払う制度に強く反対する意見が出たほか、欠席した弁護士の委任状が勝手に書き換えられたという疑問の声が上がり、一時、紛糾しました。3日の臨時総会で、一部の弁護士は、「罪を犯した弁護士のために一般の弁護士の会費を使うべきではない」とか、「制度を設けても不祥事はなくならず、信頼は回復しない」といった強い反対意見を述べました。また、総会を欠席した東京弁護士会の弁護士3人の委任状が勝手に書き換えられた疑いがあるとして、すべての委任状を調べるよう求める声が上がりました。疑問を指摘した弁護士によりますと、委任状を託した弁護士の名前が別の弁護士の名前に訂正されたうえ、東京弁護士会の印鑑が押されていたということです。出席者からは、3日の採決を見送るべきだという声も上がりましたが、日弁連の執行部は、所属する弁護士会のミスだとして訂正前の状態に戻し、ほかの委任状は調べずに採決を行いました。委任状を書き換えられたと訴えた弁護士によりますと、東京弁護士会に詳しい調査と報告を申し入れたということで、「報告の内容しだいでは刑事告訴も検討する」と話しています。

 

引用以上

 

 多くの弁護士がまじめに職務に励んでいることは事実である。一部の犯罪・欠陥弁護士のために会費から見舞金を払うことに反対する意見があることは当たり前である。この手の不祥事の原因は弁護士の意思次第で引き出しが可能な「預り金」制度にあることは何度も繰り返し述べている。弁護士個人の裁量で引き出しができない「カルパ」により、依頼者の預り金を管理すれば、この手の不祥事はほぼ無くなるのである。弁護士会費から「見舞金」を支払うことを考えるのであれば、カルパ制度を導入すればよいのである。カルパ管理の人件費・システム費用であれば多くの弁護士も支出を容認するはずだ。

日弁連が「信頼される存在」でありたいのであれば、第一に弁護士に依頼者への賠償保険に強制加入させることと、宅建業のような「営業保証金」を各単位会で預かることであろう。そうすれば不祥事による被害対応は速やかにできることになるだろう。そのうえで、弁護士一個人の裁量に任せない「カルパ」制度を創設すれば預り金の横領事案は一気に減るはずなのである。

カルパ制度については第二東京弁護士会の以下のリンクを参照してほしい。

【参考リンク】

 第二東京弁護士会「マルセイユ弁護士会訪問記」

 

カルパについて上記リンク記事の説明を以下に一部引用する。

 

弁護士会の運営にはお金が必要です。弁護士会にはカルパという仕組みがあり、弁護士会のお金の管理をしています。弁護士会会長がカルパの長を兼務し、権限を持っています。

カルパには、23人の職員がいます。昔は、弁護士が第三者から受けとったお金をコントロールする機関がありませんでした。そのために、横領などいろいろな問題が生じました。そこで、こういうお金を1つの弁護士会口座にまとめたらどうだろうかという発想から、カルパが生まれました。現在、カルパは法的に認められた機関であり、預かった資金を管理しています。今や、横領のような問題は全くありません。

 カルパには、ただ1つの口座があり、そこで資金を管理します。2930人分の預り金を、この口座で預かります。さらに、その口座の下にぶら下がっているサブ口座のようなものも使います。

 弁護士は、100ユーロ以上のお金は、自分では管理してはならず、カルパに預けなければなりません。例えば、弁護士が損害賠償金の支払を受けたら、カルパに預けなくてはなりません。従わなければ、除名処分を含む処分を受けることがあります。

 カルパは、どこからお金がきて、どこへいくかという、お金の入口と出口を明らかにします。

 フランスにもマネーロンダリング(マネロン)を規制する法律はありますが、カルパは、これまで一度も当局に報告したことはありません。カルパは、預り金を十分コントロールしているので、当局の信頼があるからです。

 

 カルパは、怪しげな弁護士がいる場合は、小切手帳を取り上げることもできます。フランスの161の弁護士会に、134のカルパがあります。全国にカルパ評議会のようなものもあります。小さな弁護士会では、いくつかの弁護士会と一緒になってカルパを運営しています。

 

 一方で、それぞれの弁護士が資金について責任を持つというのも原則です。企業秘密も絡んできます。

 

 例えば、弁護士が会長に、あるプロジェクトがあって、この予算が必要だと提案するとします。会長が認めれば、プロジェクトにお金が回されます。しかし、例えば、フェラーリを買うために300万ユーロが必要と提案しても、会長は認めないでしょう。2か月後に東京の弁護士会に出張するなどといった弁護士会に必要な仕事であれば、認められるでしょう。

 マルセイユ港は、船の売買が盛んです。港湾関係のスペシャリストの弁護士も、マルセイユにたくさんいます。石油の輸送船売買もあります。船の売買で動く大きなお金を、カルパが管理します。

 クライアントのために船を買いたいということもあるでしょうが、例えばコロンビアから資金がきたときはどうでしょうか。さすがに、この場合は問題となり得ます。カルパは、お金の流れをコントロールし、その結果、マネロンができないようにしています。

 会員が、お金に不正があると疑ったら、弁護士会会長に直接言います。マネロン規制の

中で、会長には特別の権限があるのです。弁護士会が、弁護士のお金について不正だといって声明を出すことはできません。弁護士会は、税務署の職員ではないので、税務署に報告したりはしません。弁護士の守秘義務は絶対だからです。

 

引用以上

 

 なぜ、後ろ向きであり、不祥事の予防になりえない「見舞金制度」を導入し、カルパ制度を導入しないのか筆者には全く理解できない。まっとうに弁護士業務を行っている多くの弁護士たちには「見舞金制度」について反対し、「カルパ制度」の導入について積極的に行動して欲しい。そのような行動こそが「社会正義の実現」に寄与するものであり、「信頼される存在」と弁護士自治の信託者である国民に認められる行動であると筆者は考える。

“依頼者見舞金制度の議案可決 こんな制度よりもカルパ制度の導入を” への3件のフィードバック

  1. 弁護士会への口座登録が横領を防ぐと本気で思っているのか。どうしてこんな対策しか思い浮かばないのか。過疎地の町内会れべる

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  2. こうした方が、バック金が自分の懐に入るからです。
    どこでもやっていることを弁護士様もやっているのです。
    それを国民が知らないだけ。
    国民は未だに弁護士を神様だと思っている。
    日弁連の洗脳作戦がうまくいってるということ。

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  3. 今時、弁護士を神様だと思う依頼人などいない。最近の依頼人は、勝訴判決又は和解である程度の金額をせしめたら、成功報酬を払いたくないので、委任弁護士を紛議調停に掛け「和解に無理に応じさせられた」とか「勝訴は自分たちが証拠集めをしたから勝てた」とか難癖をつける輩もいる。まあ、圧倒的に弁護士犯罪の方が被害金額は多いが、クレーマー的依頼者も居ることは確か。敗訴なんぞしたら無能呼ばわれして、これまた弁護士会に飛び込んで救済措置に講ずる依頼者も後を絶たないだろう

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