弁護士会照会回答拒否の最高裁判決について 弁護士会照会でも弁護士の職権取得の個人情報でも弁護士個人の倫理観を所属弁護士会が与信するべき

18日付で時事通信は「弁護士会は賠償請求できず=照会拒否めぐり初判断―最高裁」として以下の記事を配信した。

 

愛知県弁護士会が、裁判の当事者の転居先に関する照会を拒否した日本郵便に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は18日、賠償を認めた二審名古屋高裁判決を破棄し、弁護士会は賠償請求できないという初判断を示した。

  その上で、今回の照会に対して回答する義務があるかどうか判断すべきだとして、審理を高裁に差し戻した。

  弁護士法に基づく弁護士会照会は、実効性をどう確保するかが課題となっている。第3小法廷は「照会を受けた役所や団体は、正当な理由がない限り回答すべきだ」と言及しており、同弁護士会の弁護団は「一定の意義がある」と評価した。

 

引用以上

 

 この最高裁の上告審判決について日弁連は以下の会長談話を公表している。

 

弁護士会照会回答拒否に対する損害賠償請求訴訟の最高裁判決についての会長談話

 

 

本日、最高裁判所第三小法廷は、転居届情報について拒否回答を行った照会先に対する弁護士会の損害賠償請求を認めた名古屋高等裁判所の判決を破棄して、請求を認めないとする一方、報告義務確認請求について審理を尽くさせるため名古屋高裁に差し戻した。

 本件は、所在不明の債務者の住居所を明らかにするため、郵便局に提出された転居届の新住所を弁護士会が照会したことに対して、日本郵便株式会社(以下「日本郵便」という。)が当該情報の開示は通信の秘密及び信書の秘密に触れるとして回答を拒絶したことに対して、事件の依頼者及び愛知県弁護士会が違法な回答拒否であるとして損害賠償を求めた案件である。

 弁護士法第23条の2に基づく弁護士会照会制度は、弁護士が依頼を受けた事件の処理に必要な情報・証拠を収集するために利用できる重要な手段であり、これにより真実を発見し正義に合致した解決を実現することにより司法制度の適正な運営を支える公益的な制度である。

 弁護士会照会制度は、依頼を受けた弁護士の申出を受け、弁護士会が申出の必要性・相当性を審査した上で弁護士会の会長名義で照会がなされるものであって、その年間の受付件数は、2015年1年間で全国の弁護士会で17万6,334件に上り、また多くの照会先から回答がなされているところであり、司法制度の運営に重要な役割を果たしている。

 本判決は、原審が肯定した弁護士会に対する賠償責任を、弁護士会には法律上保護される利益がないとして否定しているが、不当である。

なお、本判決は、弁護士会には損害賠償が認められないと判断したにとどまるものであり、弁護士会照会に対して回答に応じなくとも一切賠償責任を負わないと判断したものではない点に留意されるべきである。

 報告義務確認請求については差戻しがなされており、差戻し審の審理については引き続き注視したい。

 日本郵便に対しては、本判決が、照会を受けた照会先は、正当な理由がない限り、照会された事項について報告をすべきとし、岡部喜代子裁判官の補足意見が、転居届けに係る情報について郵便法上の守秘義務が常に優先すると解すべき根拠はないとしている。

 上記趣旨に従い、日本郵便に対しては、具体的な利益衡量を行った上で回答に転じるように求める。

 今後も当連合会は、弁護士会照会制度の適正な運営による信頼性の確保とともに、回答しやすい環境作りに努め、あわせて正当な理由のない回答拒否については回答が得られるように引き続き粘り強く取り組み、弁護士会照会制度が実効性のある制度として機能・発展していくよう全力を尽くす所存である。

 

  2016年(平成28年)10月18日 日本弁護士連合会  会長 中本 和洋

 

中本会長の述べるとおり、弁護士会照会制度を真実を発見し正義に合致した解決を実現するために使うのであれば何の問題もない話である。実際に執行逃れの為に、依頼者に住民上の開示制限を使う事をアドバイスする弁護士もいる時代であり、個人情報保護への意識が高まっている流れと相まって適切な債権執行などが出来ないことは司法制度の適切な運営を妨げる事は確かである。

しかしながら「カネに追われた」弁護士などが、弁護士の住民票・戸籍の職務上請求書をバラ売りしたり、個人的な怨恨のために不正に住民票・戸籍を取得する欠陥弁護士が存在することも事実である。

 

【参考リンク】

「職務上請求」 損害賠償請求提起のため除籍・原戸籍の謄本を申請した 弁護士自治を考える会

 

 弁護士会照会についても個人情報の取得だけを目的にした請求が行われている事も事実である。携帯電話の番号から契約者を紹介することはストーカーや違法な債権回収業者が欠陥弁護士に依頼してよく行っている事も事実である。

弁護士であれば、だれでも所属弁護士会で職務上請求用紙を購入できて弁護士会照会制度を利用できること自体が問題ではないだろうか。過去に7度の懲戒処分を受けた飯田秀人(東京)も、依頼者から投資名目でカネ集めをした中田康一(第二東京)も、その気になれば住民票から戸籍謄本、それに携帯電話の登録者情報や渡航履歴などを取得できるのである。国民からしたら、過去に懲戒処分を複数回受けた弁護士や、個人情報を不正に流出させた弁護士などについては弁護士会照会制度を利用できないようにするとか職務上請求用紙を販売しないとかの措置をとってほしいと考えることが当然であろう。

各単位弁護士会が、会員について適切に個人情報を取り扱える資質があるか否かの与信をしたうえで、個人情報の取得を行える制度を整えるべきであろう。個人情報の取得のみを目的とした職務上請求や照会制度の利用を行えない仕組みを整備することが弁護士照会制度の機能・発展に寄与する唯一の手段であるはずだ。

One thought on “弁護士会照会回答拒否の最高裁判決について 弁護士会照会でも弁護士の職権取得の個人情報でも弁護士個人の倫理観を所属弁護士会が与信するべき”

  1. 法人登記後、住所に郵便物が届かない場合に試して欲しい方法
    http://rockonstyle.net/archives/1542

    引っ越しとかした際に持ってくやつです。昔の住所宛に届いた郵便物を新しい住所に運んでもらうアレです。まずは管轄の郵便局にいって、事情を説明します。そして転入届けを書かせて貰います。その際は、名前のところは『法人名』で、旧住所は空白で大丈夫です。『新住所』に部屋番号入りの住所を記載する。

    上記手続きのお陰で、内容証明の届かない登記が無数に日本に存在しており、
    詐欺の温床となっている手法です。
    法人番号が普通郵便扱いで届けられたのはそういったご事情があったようですが
    郵便局側も届けていいのか困り果てたようです。

    法務局に尋ねたところ、厳密には違法だとはいうのですが
    書類のチェックのみのため架空住所でも郵便が届かない住所でも登記可能なようです。

    上記登記手法ですと、登記住所では内容証明郵便は届きません。
    厳密には登記不実記載ですが、警察はたいてい「被害がない」とおっしゃって動かないそうです。

    こういった登記をする輩には皆様お気をつけください。
    何かあったときに実は実体がない企業ということはよくあります。
    当然そういう法人は財産など持ち合わせていません。

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