本来の理念からかけ離れた弁護士自治 新たな懲戒制度創設を

我が国の弁護士自治は、先の大戦の敗戦後の昭和24年9月の現行弁護士法の施行により開始されたものである。これは、敗戦後に憲法が改正され、それに伴う裁判所法・刑事訴訟法の改正などと軌を一にした流れの中で、議員立法として弁護士法が制定されたことによるものである。

戦前の、旧々弁護士法・旧弁護士法では弁護士への懲戒権は懲戒裁判所(控訴院に係属)が行っており、その法的な根拠は判事懲戒法に基づいて判断されたのである。

そんな中で、布施辰治や山崎今朝弥は、今日的な視点からしたら考えられない理由で懲戒処分を受けたのである。

戦後の大変革の中で、戦前から多くの弁護士らが求めていた完全な「自治と自治権」は弁護士法で規定され、懲戒権は「自治」に委ねられることになったのである。

この自治権の獲得には、当然GHQの意向も反映していたことは想像に難くはないが、何よりも当時の弁護士らが切実に「自治権」を戦前の各懲戒の事例から国民のためにも絶対に必要であると考えていたことによる事も確かなはずである。

 

弁護士自治の理念は日弁連のウェブサイトに掲載されているとおり

 

弁護士が、その使命である人権擁護と社会正義を実現するためには、いかなる権力にも屈することなく、自由独立でなければなりません

 

 というものであり、自治権の大前提は「人権擁護と社会正義の実現」なのである。当然と言えば当然の事であるが、現在のように「法匪」や弁護士バッジを付けた「詐欺師」や「泥棒」が跳梁跋扈していなかったからこそ成り立つ理念なのである。

もちろん多くの弁護士が、誠実に職務に励んでいる事を筆者も理解はしているが、バブル期以降から2000年代に入って欠陥弁護士は確実に増加しており、その欠陥弁護士らの悪行は「横領」「泥棒」「名義貸し」という極めて単純な犯罪行為を行うものが多くなり、過払い金返還のブームの際には、一気に弁護士の質が低下したのである。

過払い金返還は、宇都宮健児弁護士らの地道な努力により、判例が確立され、かつては「クズ仕事」と呼ばれた「債務整理」は、多くの弁護士らの懐を潤したと共に、過払い金の返還請求を受ける側の金融会社からの「顧客リスト」の提供や、半グレ連中が行っていた「ヤミ金」との結託など所謂「反社」が弁護士業界に参入する契機になったものである。

過払い金返還請求は、弁護士が法廷に行かずとも業務が行えることから、「欠陥弁護士」を「買って」「飼った」連中が過払い金の返還請求を行い、戻ってきた過払い金を依頼者に返還せず「盗む」連中が増殖したのである。そんな一例が「泥棒」と呼ぶにふさわしい駒場豊であり、預り金を盗む専門家の竹川カズノリなどと結託し、計画的に過払い金を盗んだ龍博(元東京 退会命令)であり、懲戒処分を何度も受けたうえで除名処分を受けた伊関正孝であろう。

弁護士懲戒請求が増加した背景には2007年にタレント弁護士である橋下徹がある事件の刑事弁護活動をめぐってマスコミでこの刑事事件の弁護団の弁護士を懲戒請求するように扇動したことから、弁護士に対する「懲戒請求」とう制度が多くの国民に認知されたのである。(ただし、橋下は扇動しながらも懲戒請求は提起していない)

それから、懲戒の要件もないにもかかわらず、自らが関与した裁判の相手方の弁護士を懲戒請求したりするような「濫訴」と表現するのがふさわしい懲戒請求が多発したのである。最近は、弁護士が懲戒請求者でありながら、事実関係の精査をせず訴訟も起こさずに懲戒請求を起こすような者も存在するのである。

こんな「不法行為」と判断するにふさわしい「濫訴」としか言えないような懲戒請求事案も多発している状況からしたら、各単位弁護士会の綱紀委員会や懲戒委員会では実際のところ「手が回らない」のではないかと筆者は考えている。

イギリスでは弁護士自治が国民の利益を阻害しているとして2004年に公表されたクレメンティーレポートを元に弁護士自治による懲戒権は、独立機関の手に移されることになった。

我が国でも、終戦直後に多くの弁護士らが切実に求めた「自治権」を当然と考えて、「自治権」を悪用する「泥棒」「横領」らが、大増殖した事や法廷活動もまともにできない弁護士が増加した事から、弁護士自治を大幅に見直す時期に来たことは間違いないだろう。

上述のとおり、各単位弁護士会も懲戒制度の運営は大変な手間であることも確かなのであるから、懲戒権を第三者機関に移譲することを大前提として新たな弁護士懲戒制度を創設するべきなのである。それと同時に弁護士による「泥棒」「横領」の防止の為に、「カルパ制度」の導入を図るべきなのだ。

今登録している弁護士の多くは旧弁護士法・旧々弁護士法など読んだことも無い者が多いだろう。自分の職業の歴史ぐらいしっかりと学び、我が国の弁護士自治がどのように形成されたかぐらい、理解するべきであると筆者は考える。

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