新年度の日弁連会長挨拶 不祥事対策には言及なし

日弁連のウェブサイトに、4月1日付で中本和洋新会長の挨拶が掲載されている。

 

会長からのご挨拶

 

 2月5日に実施された日弁連会長選挙において、1万2303票という、過去最多となる票を得て、当選することができました。会員の皆さまの大きなご支持に心より感謝申し上げます。

これまで日弁連は、ロースクールの創設、法テラスの開設、刑事裁判における裁判員制度の導入等、司法改革の諸課題に取り組んでまいりました。これらの制度は、社会の中で定着しつつあり、一定の役割を果たしてきています。

しかし、民事司法の分野では、十分な改革が進んでいません。消費者問題や労働問題を含め民事紛争が依然として多く発生しているにもかかわらず、民事裁判件数をはじめ、司法の容量が増えていません。このことが、弁護士人口増に比して弁護士の活動領域が拡大しておらず、また業務量も増えていないことを端的に示しています。

私は、日弁連会長選挙において、民事司法の改革こそが急務であり、この実現によって、司法を真に市民にとって利用しやすく頼りがいのあるものとするとともに、弁護士の活動基盤を強固なものにして法の支配を社会の隅々に広げるための取り組みが、これまで以上に必要であると主張してまいりました。このような民事司法の改革課題を実現するためには、運用の改善とともに法律の改正や、司法予算の確保が必要であり、法曹三者との協議・連携は勿論、政府や国会議員・政党の方々のご理解とご協力が必須です。日弁連は各方面の皆さまと協力して、これらの課題の実現に向けて活動していかなければなりません。

いかにして平和を守るかについては、国民の間で安保法制をめぐり、大きな議論となっています。集団的自衛権を含む安保法制は、立憲主義および憲法第9条に反するものであり、従来の日弁連執行部の取り組みを継承してまいります。

憲法改正問題については、日弁連は、人権擁護を使命とする法律家集団としての発言と活動をすべきです。戦争は最大の人権侵害であり、日弁連は戦争に向かう動きに対しては強く反対しなければなりません。人権や平和にかかわる憲法が改正されるとはどういうことか等、法律家として検討し、分かりやすく説明・情報提供をしていくことが重要です。

この他、刑事司法改革、法曹養成制度改革等の諸課題にもこれまでの日弁連執行部の基本方針を継承しつつ、皆さまの声をしっかり聴いて、積極的に取り組み、希望と活力にあふれ、信頼される司法を築いていきたいと考えています。

皆さまのご支援ご協力を心よりお願い申し上げます。

2016年(平成28年)4月1日

 日本弁護士連合会会長 中本 和洋(なかもと かずひろ)

引用以上

 

 まぁ通り一遍の内容を述べているが、弁護士自治の信託者である国民への目線が欠けている事は明らかだ。

まず、ロースクールの創設・法テラスの開設・刑事裁判の裁判員制度の導入を司法制度改革の一定の成果としているが、ロースクールの創設は決して成功であるとは言えないような状況で、すでに統廃合が進んでいる状態であり、法テラスは無理筋の事件を受ける受け皿となり司法を混乱させ、裁判員制度はせっかく裁判員裁判で重罪を言い渡しても、高裁では受け入れられないことが多い。これが一定の成果なのであろうか筆者には疑問である。

民事司法の改革というが、この挨拶文の内容では民事紛争が増えているにも関わらず、民事事件の裁判件数は増えず、弁護士増に対して弁護士の活動領域が拡大していないとしている。簡単に言えば、このような現象は民事裁判に対して国民が何も期待していないという事である。判決は取っても、執行が困難である状況や、民事裁判における事実認定が一般社会の慣習や常識からの乖離していること、一審における事実的な和解の強要など、国民の多くは一度民事裁判を経験すると「二度と裁判などしない」と思う事が多いらしい。弁護士費用を払い、成功報酬を取られたら、貸金返還請求であれば貸した金より大きく目減りしての回収になる事がほとんどである。これでは民事訴訟など誰もやりたくないだろう。懲罰的な損害賠償制度を採り入れ、民事裁判にこそ市民感覚が必要なので裁判員制度を導入すべきなのである。

日弁連のいうところの民事司法改革には国民の多くは全く期待などしていないので、ぜひとも筆者の期待を裏切るような斬新な制度改革を期待したい。

また何度も述べているが安保法制は政治問題である。弁護士自治を司る日弁連が意見を言う必要が有るとは思えない。意見のある弁護士は国会議員に立候補して自らの意見を述べればいいのである。

さて、このご挨拶は弁護士不祥事の防止には、タッタの一言も触れられていない。国民の財産を理由なく奪う弁護士が増加している中で、弁護士不祥事に触れないことは不適切であると思うのは筆者だけであるとは思えない。こんなところに筆者は「弁護士の弁護士による弁護士の為の弁護士自治」を垣間見るのである。

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