デタラメな弁護士自治 公設事務所の不祥事に厳正な対処を

1月7日付の読売新聞青森版は「法律事務所 元職員を逮捕・◆裁判所決定書 偽造・送付容疑」として以下の記事を配信した。

 

破産申し立てに関する裁判所の決定書を偽造して依頼者に送付したとして、県警は6日、五所川原市石岡、「さくら総合法律事務所」(五所川原市)の元事務職員竹浪尚志容疑者(43)を有印公文書偽造・同行使の疑いで逮捕した。偽造の疑いは、昨年3月に事務所の内部調査で発覚。県弁護士会と青森地裁が同7月、それぞれ県警と青森地検に刑事告発していた。

 発表では、竹浪容疑者は2012年12月~13年1月頃、事務所が07年1月に受任した破産手続きの申し立てを放置していたことを隠すため、本来は裁判所が作成する「免責許可決定書」を事務所内で偽造し、依頼者の埼玉県越谷市の男性(30)宅に郵送した疑い。

 事務所や県弁護士会の調査によると、竹浪容疑者は別の依頼者への決定書の氏名欄に男性の名前を記載した紙を貼ってコピーするなどし、地裁五所川原支部の真正な決定書だと装っていたという。

 竹浪容疑者は内部調査に対し、14年2月頃にも09年3月に受任した別の破産事件で地裁弘前支部の決定書を偽造したことを認めており、県警も余罪として調べる方針。事務所によると、2件とも弁護士が必要書類を用意して裁判所に提出するよう指示していたが、竹浪容疑者が放置しており、調査には「抱えている仕事が多く、手が回らないうちに時間が経過してしまった。進捗しんちょくについての依頼者の追及が厳しくてやってしまった」などと説明したという。

 竹浪容疑者の逮捕を受け、県弁護士会の竹本真紀会長は「このような事件が起きたことは誠に遺憾。会員に対する指導をしていきたい」とのコメントを発表した。

 

引用以上

 

この決定書の偽造が行われた弁護士事務所は、いわゆる「公設事務所」である。この件は弁護士自治を考える会の下記記事でも指摘されている。

 

裁判所決定書 偽造・元法律事務所職員・勤務先は青森のさくら総合法律事務所だった 

 

公設事務所の弁護士の不祥事と言えば、奄美大島の公設事務所の問題を思い出す。結局不祥事を起こした弁護士は登録抹消したのであるが、弁護士一人の責任に帰して弁護士会の指導監督連絡権の行使の問題がクローズアップされなかった事は極めて問題があるのではないかと考えている。

引用記事の、竹浪容疑者の逮捕は当然であろうが、事務員が決定書を偽造していた事も分からない弁護士には善管注意義務に欠けている事は当然であるし、業務を「事務員任せ」にしていたからこそ発生した事件ではないだろうか?青森県弁護士会は、指導監督連絡権を行使し、「さくら総合法律事務所」の業務内容を精査する必要があるだろう。また、会として決定書偽造がなされた当時の同事務所の弁護士を懲戒請求すべきである。

「事務員任せ」の債務整理事案では厳しい処分が下る事が多い、以下に「事務員任せ」の債務整理の常習者である須田英男弁護士(第一東京)の4回目の懲戒処分を引用する。

 

1 懲戒を受けた弁護士

氏名 須 田 英 男  登録番号8651  第一東京弁護士会

事務所 東京都千代田区神田多町

神田多町法律事務所

2 懲戒の種別  業 務 停 止 2 年

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は自らの処理能力を越える約258件もの多重債務処理事件を受任し事務員に事件の処理を殆ど任せきりにし、その監督を十分おこなわなかった。その結果被懲戒者は2004年5月20日の免責審尋期日の存在を知らずに欠席した。

被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める品位を失うべき非行に該当する。被懲戒者は多重債務処理事件に関連して既に3回の懲戒処分を受け、そのうち2回の懲戒処分では事務員に事件の処理を任せきりにしたこと等が非行として認定されていたにもかかわらず、重ねて同様の非行を繰り返したことは極めて悪質と評価せざるを得ず業務停止2年を選択した

4 処分の効力の生じた日

2010年 1月29

2010年 4月1日  日本弁護士連合会

 

引用以上

 

 須田弁護士が4度目の懲戒処分で、過去2回も「事務員任せ」であったので、業務停止2年の懲戒処分を受けたのである。青森県の公設事務所である「さくら総合法律事務所」においても、決定書の偽造が複数回行われた事実と、弁護士業務が「事務員任せ」であったと考えられる事実から、書類偽造時に同事務所に所属していた弁護士には少なくとも「業務停止」とする厳しい処分を下すべきであろう。そうしなければ、弁護士懲戒請求における処分の均衡を欠くものと言わざるを得ないだろう。

公設事務所の不祥事から見える事は、日弁連が推進する「司法アクセスの改善」が、確実に弁護士不祥事を増加させているということだ。日弁連の村越会長は日弁連新聞1月号において「最終コーナーを迎えて 村越執行部ラストスパート」という提灯記事インタビューを行っているが(この件は稿を改めて詳述する)、このインタビューの中で司法アクセスの改善は必須であり、そのために公設事務所を開設していると述べている。しかし、司法アクセスよりも、法的なトラブルが起きないような教育を図る事のほうが、国民の利益になる事は間違いない。単に公設事務所を司法アクセス改善名目で設置し、弁護士の雇用対策を行っているようにしか筆者には感じられない。そんな事よりも弁護士不祥事対策として預り金制度を廃止し「カルパ制度」の導入を図ることや、弁護士懲戒制度を第三者機関に移行することなどを検討してほしいものだ。

結局は「弁護士の弁護士による弁護士の為の弁護士自治」という事なのである。

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