日弁連・単位弁護士会の政治的意見について

日弁連は自らのウェブサイトで「いつも人と社会を見つめています」として同会について以下のように紹介している。

日本弁護士連合会(日弁連)は、日本国憲法の制定にともない戦後の司法制度が改革されるなかで制定された弁護士法に基づいて1949(昭和24)年9月1日に設立された法人です。その構成員(会員)は、全国52の弁護士会、弁護士及び弁護士法人ですが、日本全国すべての弁護士及び弁護士法人は、各地の弁護士会に入会すると同時に日弁連に登録しなければなりません。つまり日本全国すべての弁護士は、日弁連に登録しています。なお、外国法事務弁護士は、外国特別会員として日弁連に登録しています。

弁護士法(第45条第2項)は、日弁連の目的を「弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため、弁護士、弁護士法人及び弁護士会の指導、連絡及び監督に関する事務を行うこと」と定めています。日弁連は、この目的を達成するため、弁護士等の登録審査、弁護士等に対する懲戒処分など弁護士等の身分に関する業務を行い、また、弁護士、弁護士法人、外国法事務弁護士、弁護士会等が遵守すべき会則等を制定するなどしています。

時には国家権力と対決しなければならない弁護士等を指導・連絡・監督する日弁連が、国家機関の監督下にあれば、健全な司法制度の維持発展は望めません。そこで、日弁連は、国家機関からの監督を受けない独自の自治権(弁護士自治)を有し、この自治権のもと、弁護士等の指導、連絡及び監督を行っています。

また、弁護士法(第1条第1項)は、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」と弁護士の使命と定めています。日弁連では、この弁護士の使命のもと、人権擁護に関する様々な活動、各種法律改正に関する調査研究・意見提出、消費者被害救済、公害・環境問題への取組、刑事手続改善の活動、市民に開かれた司法とするための司法改革運動などにも積極的に取り組んでいます。

さらに日弁連は、今日のような国際化時代に適切に対処できるよう、各国の法曹関係者の交流、相互協力にも努めています。

引用以上

まぁ書いてある事はごもっともであるが、日弁連や各単位弁護士会が「会長声明」として発表する政治的意見はあまり感心しない。

日本国憲法第19条は「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と定めているのだから、日弁連や単位弁護士会は憲法改正や戦争に賛成する意見をも含めた様々な意見を発信する自由を守るべく行動すべきであり、弁護士自治を司る機関としては政治的な声明は発表すべきではないだろう。以下に今年9月19日付の日弁連村越会長の「安全保障法制改定法案の採決に抗議する会長声明」を引用しその問題点を指摘する。

本日、参議院本会議において、平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案(以下併せて「本法案」という。)が採決された。

当連合会はこれまで、昨年7月1日の閣議決定及び本法案について、政府が憲法第9条の解釈を変更し、これを踏まえて法律によって集団的自衛権の行使を容認することは、憲法の立憲主義の基本理念、恒久平和主義及び国民主権の基本原理に違反することを、繰り返し指摘してきた。また、後方支援の拡大や武器使用の拡大等の立法も、自衛隊が海外において武力の行使に至る危険性を高めるものとして、同様に憲法に違反することを指摘し続けてきた。

本法案の国会審議が始まってからは、衆議院憲法審査会における3名の参考人をはじめとする多くの憲法学者、歴代の内閣法制局長官、さらには元最高裁判所長官を含む最高裁判所判事経験者が、本法案の違憲性を指摘するに至った。

これに対し、国会における政府の説明は極めて不十分であり、本法案に対する国民の理解は深まることなく、今国会での本法案の成立に反対する意見が世論調査の多数を占めていた。こうした民意を無視して十分な審議を尽くさないまま、参議院特別委員会が採決を強行し、参議院本会議において本法案が採決されたことは、立憲民主主義国家としての我が国の歴史に大きな汚点を残したものであり、強く抗議する。

これまで、学生や子を持つ母親などを含む様々な人々が、デモや集会に参加するなど、本法案に反対する動きが全国各地に広がったが、このことは、我が国の民主主義の健全性をあらためて示したものといえる。当連合会は、今後も国民・市民とともに、戦後70年間継続した我が国の平和国家としての有り様を堅持すべく、改正された各法律及び国際平和支援法の適用・運用に反対し、さらにはその廃止・改正に向けた取組を行う決意である。

以上

これは単なる個人の意見としてであれば問題は無いのであろうが「日弁連」としての総意のように発表する事には大いに問題があるだろう。この声明では、「国民の理解がふかまることなく」とか「世論調査」などの事を述べているが、その立証は何もなされていない。日弁連が独自に調査でも行ったのであれば、ある程度は理解できるがこの声明には「要件事実」すら存在しない可能性もあるのである。また「学生や子を持つ母親など」がデモや集会に参加するなどとの記載があるが、そのことと日弁連が会長声明として発表した意見と何の関係があるのであろうか?筆者には全く理解できない。その上で声明は「改正された各法律及び国際平和支援法の適用・運用に反対し、さらにはその廃止・改正に向けた取組を行う決意である。」と締めくくっている。これは単なる政治的な意見である。

日弁連・各単位弁護士会は政治的な意見を述べるべきではないと筆者は考えている。その理由は、多様な意見を自由に発言できる社会を維持するために活動をするべき日弁連・各単位弁護士会が一つの価値観を「会の総意」のように発信することに問題がある事と、「自由と正義」はあくまで個人の思想信条によるものであり、「戦争賛成」の意見を言う自由も必要なのである。日弁連・各単位弁護士会が考える「正義」を政治的な声明として発表することは、そんな意味からもよろしくないのである。

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